短距離種目について

 「青森県南の陸上競技」というタイトルのHPですから、専門の中長距離だけでなく短距離についても書かないと片手落ちだと思い、資料を手当たり次第に探し出しています。
 何とか短距離種目、100m・200m・400mについて、その練習法・スプリントの技術などを書いてみようと思います。
 私の専門は中長距離ですので、自身勉強のつもりで書いていきます。

 阿部征次先生の著書「スプリント・トレ−ニングマニュアル」や月間陸上競技・陸上マガジンを主に参考にしています。

 

  1. 練習をはじめる前に
  2. 短距離走の練習法
     2-1)技術走
     2-2)負荷走と軽減走
     2-3)腕組走とマ-キング走
     2-4)スキッピング・1分間隔走・跳躍走
  3. トレ-ニング方法
  4. 練習メニュ-


1)練習をはじめる前に

 短距離走のトレ−ニングは、スタートからゴ−ルまでに必要な体力的・技術的要素を強化しますが、どうしても強化されない部分が出てきます。その強化されていない部分は、レ−スやタイムトライアルで弱点となって現れます。その弱点を探し出し、それ以後のトレ−ニングに生かすのです。ですからレ−ス前に「今日のレ−スでは、練習したもののうち、何と何をやろう」と決めて走ります。出来なかったことがあった場合には、そのための練習をトレ−ニングに取り入れます。こうしてトレ−ニングは改良され、より良いトレ−ニングが出来上がっていきます。
 このトレ−ニング改良のために必要なことは、まず自分のレ−スが分かる事です。試合で走っていても、自分がどんなレ−スをしたのかわからないのでは、練習がレ−スにどう影響したか理解できません。レ−スで自分の動きが分かるには、普段の練習で、常に練習の目的と正確な実施法を意識して行うことが大切です。
 次に、不十分な点を補う練習手段を見つけることです。これまでやってきた練習法の目的と正確なやり方を再確認すれば済むこともありますが、自分で練習方法を考え出さなければならない場合もあります。新しい練習手段を考え、取り入れていくことは非常に大切なことです。

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2)短距離走の練習法 

 短距離の練習には、いろいろなものがありますが、「走る」だけでなく、ほかの方法もかたよりなく取り入れなければなりません。「走るトレ−ニング」にも、たくさんの種類があります。それらを計画の中にうまく配合するのが、強くなる決め手でもあります。走練習は技術的・体力的な目的によって様々に分類されますが、分類法の一つにスピ−ドの違いを基準にするものが考えられます。
 例えば次のようなものです。

  1. Aスピ-ド 
     100m・200m・400mなどの試合で走るスピ−ドを出す練習
  2. Bスピ−ド
     Aよりやや遅いスピ−ドで、フォームなどに気を配りながら走る練習
  3. Cスピ−ド
     ウォ-ミングアップやダウンなどで緊張を解いて走る練習

 じっくりと実力を養い、大きく伸びるためには、Bスピ−ドの練習で良い動きを身につけることが、重要です。練習に取り入れる際には、Aスピ−ドの練習は週2回にし、一日の練習の中でAとAの間に必ずCスピ−ドのランニングを入れることが原則です。
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2-1)技術走

 技術を身に付けるための走練習の1つに、スピ-ドをやや抑えて走る技術走があります。
 全力疾走では難しい脚や上体、腕の動きを、スピ-ドをちょっと落とした走りで行います。距離は40m〜120mを用いますが、400m選手は600mまで距離を伸ばすこともあります。
 技術走では、1回に1つは技術的留意点を持って走ります。
 ややスピ-ドを落としたランニングは、全力疾走に比べて回数も多く出来ますので、技術を身に付けるには適しています。
 体力的にも繰り返し回数の多いぶん、持久力が増すのは当然です。休息時間を短くすることで、短距離に必要な持久力もつきます。また、全力疾走で使う筋肉をつくり上げる効果もあり、怪我の予防にもなります。
 冬期練習ばかりでなく、試合と試合の間が4週間以上ある場合は、積極的に取り入れましょう。
                                                 
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2-2)負荷走と軽減走

 練習の方法によっては現在の力以上のスピ-ドを出すことも考えられます。これと対照的に、負荷を付けて最大の努力で走り、筋力やパワ-を付けようという考え方もあります。
 前者を「スプリント・アシステッド・トレーニング」、後者を「スプリント・レジステッド・トレーニング」といいます。

 負荷走には次のようなものがあります。 *負荷走・軽減走のトレ-ニング例

@ 坂上がり走
スプリントの感覚ですと3%の坂、スタ-トダッシュの感じは5〜6%の坂、さらに角度のある坂はパワ-を付ける効果があります。
A 向かい風走
練習するときは前傾を強めて走ります。上体を起こして走ると、もものよく上がったフォ-ムを身に付けることが出来ます。
B 後ろから引いてもらって走る
主としてスタ-ト部分の走り方になります。
C ウェイトジャケットを着て走る
4〜10Kgのウェイトジャケットを着て走ります。


 軽減走には次のようなものがあります。

@ 坂下り走
スピ-ドを高めるために最適の下り坂は1〜3%ぐらいで、3%になると30〜40mが限界です。もっと急な坂しかない場合は、短い距離を下り、そのスピ-ドを平地に持ち込むようにします。
A 追い風走
追い風で走る場合、腰が入りすぎるので、腹を締めることを強調して走ります。


 軽減走の狙いは、普通では出せないスピ-ドを出すことにあります。
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2-3)腕組み走とマ-キング走

 腕組み走は、90m・120mなどを、2/3の距離は腕を身体の後ろで組んで走り、残り1/3は腕を振って走ります。組んでいる腕を離す前はスピ-ドを十分に上げ、パッと手を離して振って走ります。

 マ-キング走の距離は、全体で90mです。走り出しの15mを加速し、残り75mを引いてある線を踏んで走ります。線の間隔は1m80から、4歩走るごとに10cmずつ伸ばし、2m〜2m40を最大の間隔とします。最大の間隔で4歩走ったら、広げる時と同じ方法で、間隔を狭くしていきます。ストライドが広くなってもピッチを落とさず、ストライドが狭くなる時は、腰を高くしてマ-クを正確に踏んで走ります。ストライドの変化に、スピ-ドやピッチを変えずに対応するのが練習課題です。マ-キング走でピッチを自由自在に操る能力がつくと、レ-ス中に起こるピッチの低下やオ-バ-ストライドに対処できるようになります。
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2-4)スキッピング・1分間隔走・跳躍走


 スキッピングとは、もも上げのことです。下脚の振出には十分に注意してください。「脚を回す」イメ-ジと「振り出すタイミングを遅らせる」の2つがポイントです。その為には、ももをトラックと平行まで上げ、振り出しはさらに高く上げながら脚を回すようにします。このスキッピングには強い筋力が必要ですから、うまく出来ない時は筋力不足が原因かもしれません。

 1分間隔走とは、100mのスタ-トから走り、ゴ-ルしたらその場で休息し、ゴ-ルから逆走する。1回目の走り出しから2回目の走り出しまでを1分間とする。スピ-ドは8/10〜6/10で、持久力の養成が狙いです。

 跳躍走は、筋持久力の養成を狙いとして、40m〜200mを大きく跳んで前進します。キック脚を十分に伸ばし、高くジャンプするようにします。着地ではかかとをつかないで、身体を支えます。

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3)トレ-ニング方法

 トレ-ニングは目的によってT期からW期に分け、年間を通して繰り返します。トレ-ニング期は基本的に試合日程との関係で設定しますが、試験など学校の行事の日程も考えて決めることになります。

              *冬期トレ-ニングから春のシ-ズンまでを例に100m・400m別に示します。

第T期のトレ-ニング 11月第3週〜12月第1週(3週間)
冬期練習開始のこの時期は、今後のトレ-ニングで用いるトレ-ニング手段の確認と、現在の力の測定が狙いです。冬期練習では試合の結果で自分の力を測ることが出来ないので、トレ-ニング手段の中に指標となるような種目を入れておきます。例えば、50mタイムトライアル(15m加速)・200mタイムトライアル(10m加速)・600mペ-ス走のセット(「600mペ-ス走進度表」参照)などの冬期練習はじめの記録をはかっておきます。冬期練習中に定期的にこれらの記録を測れば、トレ-ニングの進捗状態を知ることができます。
第U期のトレ-ニング 12月第2週〜1月第2週(5週間)
T期で正確なやり方を確認した練習手段を用いて、トレ-ニングを本格的に進めます。走スピ-ドや重量・距離を変えず、回数やセット数を増やしていくのが基本になります。走り方はトラックのキャッチとキックを強調します。スキッピングは正確性に主眼をおいて、距離やセット数は増やさないようにします。
順調にトレ-ニングしてきて、体重の増加も3Kg以内なのにベストタイムより4%以上低下するような場合、トレ-ニング過多による過労の恐れがあります。練習量を落としてみて、タイムが上がることを確認してください。
秋のスピ-ドを冬の間保つことが、春の飛躍につながりますから、タイムの低下は、最大でも4%、出来れば2%以内に抑えるようにしてください。
第V期のトレ-ニング 1月第3週〜2月第3週(5週間)

冬期練習中最大の負荷のかかる時期になります。U期同様に動きの正確さを保ちながら、重量・距離が最大に増していきます。スピ-ドはU期の後半より低下させてはいけません。走り方はキャッチやキックだけでなく、全体に注意し速いリズムで走るように変えていきます。スキッピングは動きの速さを落とさないようにしながら、距離を伸ばしていきます。ペ-ス走は回数の増加からタイムの短縮のほうに向かいます。全面的持久力からスピ-ド持久力へと変わる準備をします。
200mのタイムトライアルで1回目と2回目のタイムの低下率が1.5%を越えたら休養の時期です。3〜4日の完全休養をとりましょう。
第W期のトレ-ニング 2月第4週〜3月第1週(2週間)

ほんらいW期は試合期です。ここに試合期を設定するのは、試合をするつもりでコンディショニングをして、疲労を完全に取り去り、心身ともにフレッシュな状態をつくるのが目的です。

冬期練習を4期にわけてそのポイントを示しました。この期分けはこの後も繰り返します。3月3日以降の期分けを示すと次のようになります。

T期 3月第2週(1週間) 
U期 3月第3週〜3月第5週(3週間)
V期 4月第1週〜4月第4週(4週間)
W期 5月第1週〜

狙いは基本的に同じですが、このV期ではすでに試合が始まっていますから、冬期練習中のV期よりスピ-ドが高く、回数は少なくなります。
 

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